2026年9月1日より、需給調整市場における一部商品のΔkW上限価格が変更されました。
電力需給調整力取引所(EPRX)が公表した内容によると、「複合商品」「一次調整力」「二次調整力①」の上限価格は、従来の15.00円/ΔkW・30分から、10.00円/ΔkW・30分へ引き下げられています。
系統用蓄電池にとって需給調整市場は重要な収益機会の一つであり、今回の変更は今後の蓄電池事業を検討する上でも注目すべき制度変更です。
2026年9月1日から上限価格を変更
今回変更された主な商品区分は以下の通りです。
・複合商品:15.00円 → 10.00円/ΔkW・30分
・一次調整力:15.00円 → 10.00円/ΔkW・30分
・二次調整力①:15.00円 → 10.00円/ΔkW・30分
一方、二次調整力②および三次調整力①については7.21円/ΔkW・30分が継続され、三次調整力②については引き続き上限価格が設定されていません。
電力需給調整力取引所では、募集量に対して応札量が少ない場合などに価格が過度に高騰することを防ぐため、需給調整市場の商品ごとに上限価格を設定しています。
上限価格は「15円から10円」に
今回の変更により、対象となる商品の上限価格は15円から10円となり、約33%引き下げられたことになります。
ただし、これは系統用蓄電池の需給調整市場からの収入が一律に約33%減少することを意味するものではありません。
実際の収益への影響は、各商品の約定価格、応札状況、蓄電池の性能、運用方法、市場への参加方法などによって異なります。
また、電力需給調整力取引所のルールでは、上限価格を超える価格での応札自体をシステム上で制限するものではなく、上限価格を超えて約定した場合には、精算時に上限価格を適用して料金計算が行われます。
系統用蓄電池事業では収益シミュレーションの見直しも重要に
系統用蓄電池では、卸電力市場での価格差を利用した充放電に加えて、需給調整市場や容量市場など、複数の市場を組み合わせて収益を確保する事業モデルが一般的になっています。
そのため、需給調整市場の上限価格変更は、蓄電池事業の収益シミュレーションを考える上で確認しておくべき要素の一つです。
特に、一次調整力や二次調整力①などで比較的高い価格での約定を前提としていた案件については、新しい上限価格を踏まえて事業計画を確認する必要があります。
一方で、系統用蓄電池の事業性は需給調整市場だけで決まるものではありません。
卸電力市場、需給調整市場、容量市場など、それぞれの市場環境を踏まえながら、複数の収益機会を組み合わせて運用することが、今後さらに重要になっていくと考えられます。
今後も市場制度の変更に注目
系統用蓄電池市場の拡大に伴い、需給調整市場をはじめとした電力市場の制度やルールについても継続的な見直しが進められています。
蓄電池事業を検討する際には、設備価格や系統接続条件だけではなく、稼働開始後に参加する電力市場の制度変更についても継続的に確認することが重要です。
GRID CAPITALでは、今後も系統用蓄電池の開発、系統連系、電力市場および制度改正に関する最新情報を発信してまいります。
参考情報
・一般社団法人 電力需給調整力取引所
「需給調整市場のΔkW上限価格の更新について」
・一般社団法人 電力需給調整力取引所
「需給調整市場のΔkW上限価格について」